「シニアマーケティングに参入したいけど効果的な方法がわからない」
「購買意欲を沸き立てる訴求方法が知りたい」
このような悩みを抱えているマーケターも多いのではないでしょうか。
少子高齢化の影響により、シニア向けのサービスは多岐にわたり販売されています。
さまざまな企業が新規参入しているため、マーケティングにより商品を広めることが大切です。
そこで本記事では、シニアマーケティングの基礎知識や5つのポイント、成功事例などを紹介します。
シニアマーケティングを成功させたいマーケターはぜひ参考にしてみてください。
シニアマーケティングが重要な理由

シニアマーケティングとは、65歳以上の男女を対象にしたマーケティングのことです。
少子高齢化で定年と健康寿命が伸びているため、シニア向けの商品開発や販路選定など、シニアごとの提案が必要です。
総務省の調査によると、2024年に65歳以上の高齢者は3265万人で、人口の29%を占めました。
2040年には35%を超えると予想されており、高齢化はさらに加速します。
そのため、医療や介護、食品やITなどの企業がシニア市場に参入しています。
企業が今後生き残るためには、シニアマーケティングの意識を高く持つことが非常に重要です。
シニアマーケティングを成功させる5つのポイント

シニアマーケティングを成功させるポイントを5つ紹介します。
- シニアを4つの特徴に分ける
- シニアマーケティングの市場規模を把握する
- ペルソナ設定を明確にする
- シニアの関心が高い分野にアプローチする
- PDCAサイクルを意識してマーケティングする
ひとつずつ見ていきましょう。
1.シニアを4つの特徴に分ける
シニアマーケティングでは、シニア層を4つに分ける必要があります。
以下の表にシニアの種類と特徴をまとめました。
シニアの種類 | 特徴 |
アクティブシニア | 時間や経済的に余裕があり、仕事や趣味に意欲的 |
ディフェンシブシニア | 健康上の問題はないが、金銭的な余裕がない |
ギャップシニア | 要介護の予備軍で「できること」と「したいこと」にギャップを感じている |
ケアシニア | 自治体から要介護・要支援の認定を受けている |
アクティブシニアとディフェンシブシニアは健康上の問題はありませんが、嗜好品や趣味などに対して消費の価値観が異なります。
ギャップシニアとケアシニアは身体機能が低下しているため、配食や家事援助のようなサービスを訴求してみましょう。
ケアシニアは、金銭を本人だけではなく家族が管理している場合もあります。

家族が管理しているのは、認知症や要介護の認定を受けていると正常な判断が難しいためです。
商品やサービスの必要性を家族にも納得してもらえるように説明するのが効果的です。
シニアを一括りにせず、特徴に合った商品やサービスを訴求しましょう。
2.シニアマーケティングの市場規模を把握する
2025年、シニアマーケティングの市場規模は、100兆円まで拡大しており、今後さらなる成長が予想されます。
シニア向けの商品やサービスを展開している既存企業や、新規で参入している企業も多く、レッドオーシャン化しているのが現状です。
上記の図を確認すると、高齢者向けのマーケットは2007年と比べて、医療が116%、介護産業が137.5%、生活産業が26.8%拡大しています。
シニアマーケティングを成功させるには、自社の利益につながる市場規模を把握しましょう。
3.ペルソナ設定を明確にする
シニア向けビジネスを成功させるためには、集客したいペルソナを明確にしましょう。
ペルソナの設定に必要な項目は以下のとおりです。
- 名前
- 年齢
- 住んでいる地域
- 年収
- 性格
- 家族
- 趣味
- 休日の過ごし方
- 情報収集のツール
ペルソナがぶれると「自分に向けた向けた商品じゃない」と思われ、興味を持ってもらえなくなります。

だれにでも万人受けする商品やサービスは印象に残りません。
たとえば、アクティブシニアの仕事や趣味、消費行動などのライフスタイルを明確にすると、ターゲットにより寄り添った商品やサービスが提供しやすくなります。
シニアを一括りにせず、集客したいターゲットを絞ることが、シニアビジネスを成功させるためには重要です。
4.シニアの関心が高い分野をアプローチする
シニアが関心を持つ分野からアプローチすることも、シニアマーケティングを成功させるために大切です。
たとえば、仕事や趣味、娯楽などに加えて、健康に高い関心を持つシニアも多くいます。
60歳以上でサプリメントを摂取している方は、41%もいるとされており、健康食品や健康器具などが注目されていることがわかります。
さらにドラッグストアでは、コンドロイチンやグルコサミンなど、年齢を重ねることで生じる痛みに効果がある医薬品やサプリメントが人気です。
シニア層が興味や関心を持っている分野に絞って訴求することが成功させる方法といえます。
5.PDCAサイクルを意識してマーケティングする
PDCAサイクルは以下の頭文字をとった言葉です。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(対策・改善)
Planでは目標を明確に設定し、達成するための工程を決めます。
Doは最初に設定した目標に対して行動する過程です。
Checkでは目標を計画通りに実行できたことを評価します。最後にActionにつなげ、行動でハッキリした課題を改善していきます。
結果に関わらず、PDCAサイクルを回すことで改善でき、成長できるようになります。
シニアマーケティングの注意点

シニアマーケティングの注意点を2つにまとめて紹介します。
- シニアを一括りにしない
- 難しい言葉や表現を使わない
マーケティングを成功させるためのポイントを解説していきますので、ぜひご覧ください。
シニアを一括りにしない
シニアには「アクティブシニア」や「ケアシニア」などの種類にわかれているため、一括りにすると、訴求するターゲットがズレます。
たとえば、アクティブシニアには健康グッズやサプリメントなど、毎日の健康に欠かせない商品を宣伝すると購買につながります。
ケアシニアにはポータブルトイレや入浴介助グッズ、歩行器など福祉用品に絞って訴求しましょう。
シニアマーケティングに失敗しないためには、一括りにしないでタイプごとに訴求をすることが重要です。
難しい言葉や表現、配色を気をつける
シニアマーケティングでは難しい言葉や文章表現を使わずに、簡潔で分かりやすい内容で訴求しましょう。
読み間違えが発生したり、異なる意図で伝わるため、注意が必要です。
さらに加齢や病気が原因で色の識別が難しくなるため、色調にも注意が必要です。「緑色と黒色」「黄色と茶色」などの似た色は、見分けがつきにくくなります。
そのため「黒色と白色」「赤色と白色」などの大きな差がある色を使う必要があります。
伝えたい内容を訴求するだけではなく、読み手を意識した訴求をしましょう。
シニアマーケティングを行うステップ

シニアマーケティングを行うのに重要なステップを2つにまとめて紹介します。
- 市場の分析
- 効果測定
この章を読むと、シニア向けのマーケティング手法のポイントがわかり、失敗せずに始められるようになります。
1.市場の分析
マーケティングを行う上で重要なのは、市場全体だけではなく、自社や競合他社、顧客のニーズ、価値観などさまざまな角度で分析することです。
顧客のニーズを調査すると、市場の動きを見ることができます。
「世間でどのような商品が求められているか」「顧客がどんな商品に満足して、継続的に購入しているか」などを調査して、市場を分析することが大事です。
とくにシニア市場は規模が100兆円のため、参入している企業が多く、レッドオーシャンです。
類似サービスが多いなかで、競合との差別化をはかり、独自の商品やサービスを宣伝する必要があります。
市場だけではなく競合他社や顧客まで分析し、適正にターゲットに届くようにしましょう。
2.効果測定
マーケティングの効果測定は、以下の工程で行います。
- マーケティングの目的を明確にする
- KGIとKPIを設定する
- ターゲットにあった方法を選択する
- 施策で効果測定のデータを収集する
- 改善点を見つけて次回の施策に活かす
マーケティングの目的を明確にする理由は「自社サービスの認知度を上げる」「契約数を向上させる」などです。
方向性が曖昧になると、正しいマーケティングができないため注意しましょう。
KGIとは、マーケティングの最終的な目標を定量的に表す指数のことで、売上や利益などです。
KPIはKGIを達成させるための指数で、アクセス数やクリック率、経費を10%削減することなどが該当します。
KGとKPIを設定したらターゲットに合う選択を検討しましょう。施策を行うと結果に関わらず改善点が見つかります。
効果測定はマーケティングを成功させるための大切なステップです。
シニアマーケティングの成功事例3選

シニアの市場はさまざまな企業が参入していますが、成功している企業を3つ紹介します。
- JR東日本
- 日清食品
- 生活協同組合コープさっぽろ
シニアマーケティングを成功させるための参考にしてみてください。
JR東日本

JR東日本が提供している「大人の休日倶楽部」は、50歳から入会できる会員限定のサービスで、時間や経済的にも余裕があるアクティブシニアをターゲットにしています。
大人の休日倶楽部のサービスは、主に以下のとおりです。
- 会員限定のきっぷ・割引きっぷ
- カルチャースクール「趣味の会」
- 会員サイト限定のイベントやキャンペーン
「大人の休日倶楽部パス」を使うと、JR東日本とJR北海道の路線すべてや、その他7つの鉄道会社全線の乗り降りができます。

ペルソナを時間や経済的に余裕があるアクティブシニアに絞っているところが特徴です。
文化や健康、音楽など、さまざまなジャンルで集まった人達と、旅行や発表会で積極的に交流することが可能です。
会員限定のイベントでは、著名人の講演会や映画、コンサートのチケットなど、シニアの多様な趣味に対応しています。
日清食品

日清食品はシニア層に向けた健康志向の食品を訴求している企業です。
食が細くなっているシニアをターゲットに、従来の袋麺よりも少量の「お椀で食べるカップヌードル」や「お椀で食べるチキンラーメン3食パック」を販売しました。
カロリーも通常サイズは300kcal以上の商品があるところ「お椀で食べるカップヌードル」は152kcalのため、健康に関心があるシニアに響く商品です。
調理が難しくなったシニアが簡単にラーメンを楽しめるほか、健康に配慮していることがシニア層から選ばれている理由といえます。
生活協同組合コープさっぽろ
生活協同組合コープさっぽろは、北海道で100店舗店を超えるスーパーマーケットと宅配事業、移動販売や共済などを運営しています。
北海道の地方では車が無いと生活が成り立ちませんが、高齢になると運転が心配で手放す方もおり、買い物難民のシニアが増えています。

地域の特徴に合わせてサービスを展開しているところがコープさっぽろの強みです。
コープさっぽろは宅配事業や、移動販売で地域に根ざしているほか、環境活動を通じてシニアと現役世代が交流できる機会を設けています。
地域に密着して課題を解決していくのがコープさっぽろの成功事例です。
シニアマーケティングに効果的な発信媒体3選

シニアマーケティングに効果的な媒体を3つ紹介します。
- テレビやラジオなどのマスメディア
- 雑誌や新聞などの紙媒体
- ネットやSNS
ターゲットに合うメディアを使い分けて、シニアマーケティングをスムーズに行えるようにしましょう。
1.テレビやラジオなどのマスメディア
インターネットが普及している現在でも、テレビやラジオといったマスメディアもシニアマーケティングにおいては重要な媒体です。
テレビのCMや番組で取り上げられることで、スーパーやドラッグストアなどの店舗へ足を運ぶシニアもいます。
さらに、シニア層にとってテレビは昔から親しみのあるメディアで、情報源のひとつです。
ラジオも根強い人気があり、家事や車を運転しながら聴いている方も少なくありません。
音声のみでメッセージや訴求するため、印象に残るキャッチグレーズや説明が求められます。
シニアマーケティングを成功させるためには、メディアを活用したアプローチも検討しましょう。
2.雑誌や新聞などの紙媒体
新聞や雑誌もシニアにとって親しみのある媒体です。
総務省の調査では、67%のシニアが情報源として新聞を活用しています。
さらに48%のシニアが娯楽として新聞を楽しんでおり、もはや生活に欠かせない媒体といえます。
また、雑誌を使った宣伝方法も効果的です。
文字だけではなく、写真やイラストを多用しているため、読者に訴求内容をイメージさせやすいでしょう。
週刊誌やファッション、ビジネス、娯楽などさまざまなジャンルがあるため、読者の目に留まりやすいといえます。
シニアマーケティングにおいては、新聞や雑誌などの紙媒体を効果的に活用しましょう。
参考:総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告」
3.インターネットやSNS
インターネットはシニアマーケティングに欠かせない手段で、60代でも74%のシニアが、娯楽としてインターネットを活用しています。
SNSの利用率も高く60代でもLINEは91%、YouTubeは71%もあり、シニアの中でもデジタルに抵抗がない方もいます。
シニアマーケティングを行う場合は「シニア層はデジタルに弱い」という固定概念を捨て、SNSやWeb広告を活用しましょう。
まとめ

本記事ではシニアマーケティングの基礎知識や5つの成功ポイント、成功事例などを紹介しました。
高齢化が進むなか、シニアの市場は2025年には100兆円規模になります。
多くの企業が参入しているため、類似した商品やサービスが多く、競合他社との差別化が重要です。
シニアを一括りにせず、アクティブシニアやケアシニアなど、それぞれの特徴に合ったペルソナを設定して、顧客に訴求するのが大事です。
自社の売上や利益の拡大を目指して、マーケターとして貢献できる人材を目指しましょう。
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